2020年度の活動方針
1 私たちをとりまく情勢
 政府は2030年目標として、原発の総電力に占める割合を20~22%としていますが、到底達成できる状況にはありません。これを実現するには30基程度の原発稼働が必要とされますが、現在、稼働を認められているのは9基です。そのうち伊方原発3号機は広島高裁の判断により停止させられ、川内原発1号機はテロ対策の遅れにより3月から、川内原発2号機も5月20日から原子力規制委員会により停止させられており、差し引くと全国で6基が稼働していることになります。ちなみに伊方原発3号機は来年3月からテロ対策遅れによる停止対象とされています。他方で、廃炉になった原発は伊方原発1,2号機あわせて21基に上ります。
 原発再稼働について、各種の世論調査は圧倒的に原発再稼働に反対あるいは慎重な意見で占められています。太陽光などの再生可能エネルギーは確実に伸びてきています。原発再稼働のための安全対策費は上昇するばかりで、すでに5兆円(維持費を含めると13兆円)に達しています。原発の電気が安い、と政府の言っていたことは嘘だったことが国民に明らかになりつつあります。大飯、高浜原発再稼働を推し進めるためにどの様に汚いお金が使われたのかは、関西電力の高浜町で発覚した贈収賄事件から垣間見えてきます。これは氷山の一角と言われ、四国電力伊方原発で事情は別だとは考えにくいのではないでしょうか。
 311福島事故から10年目を迎えた今年、福島原発1号機~3号機のデブリ取りだし作業は端緒にすら着いていません。日々地下水にデブリが接触して大量に発生し続ける放射能汚染水問題は「アンダーコントロール」できていません。たまり続ける汚染水タンクの放射性物質を海に垂れ流すことを東電、政府は強行しようとしています。実施されれば漁業は壊滅的打撃を受けるだけでなく、全地球規模の汚染の拡大がとどまるところを知らなくなるでしょう。
 復興五輪と銘打った東京オリンピックは、福島から聖火リレースタートの予定でした。そのために未だ全町民が一人も帰還できていない双葉町のJR常磐線双葉駅舎が新調されたと聞きます。開催を1年先送りしたとしても、地元福島にとってどのような意義を持つのでしょうか。緊急事態宣言は新型コロナウイルス感染症では4月に発せられた宣言がわずか2ヶ月を待たずに解除されました。原子力緊急事態宣言は2011年3月から10年目となる今日、発せられたままで推移しているのです。
   1.17広島高裁勝訴の影響は大きい
 今の時点で、伊方原発3号機は止まっています。何と嬉しいことでしょうか。裁判所が意地を見せてくれたのです。「司法は生きていた、死んでいなかった!」のです。
 1.17広島高裁決定のなかでつぎのようなことが述べられています。
裁判長が判断をくだす場合に、専門家の間で見解が対立している論点に関しては、少数説であっても、それがより安全性を求める(より保守的な)見解である場合は、安易に排斥してはならないと。つまり裁判長は専門家のいうA説が正しいかB説が正しいかを判断するのでなく、どちらの説がより安全性を配慮して考えられているかを重視すべきである。まっとうな決定であると言えます。
2 裁判の輪を拡げます
(1) 抗告審(福岡高裁)の取り組みについて
 弁護団提出議題「福岡高等裁判所において係属中の即時抗告については、その取下げの要否及び方法について、弁護団に一任する」
 このことについて、弁護団より総会決議を求められ、出席者より異議はなく、承認されました。
 *6月15日、弁護団は即時抗告の取下げ書を福岡高裁に送付しました。
(2)本訴(大分地裁)の取り組みについて
①大法廷の傍聴席を毎回、満席にします
 あの2018年9月28日、私たちにとって屈辱的な仮処分決定を下した佐藤重憲裁判長が異動しました。4月から新しい裁判体になったことで、裁判に対する構えがまた変わってきます。大いに期待を込めて取り組みましょう。
 口頭弁論に於いて傍聴席を満席にすることが新裁判長への大きなプレッシャーとなります。そのためには、傍聴する会員や市民の皆さんが来てよかったと思えるような、分かりやすい裁判を目指します。その1つが弁護団による意見陳述の実施です。さらに、原告による意見陳述をできる限り行います。
 口頭弁論の後は必ず報告集会を持ち、質問や意見や交流ができるように工夫した裁判運動をめざします。
②各地の原告、応援団、の交流会を開催します
 前年度に引き続き各地域の会員交流会を開催します。特にまだ開催されていない地域での開催をめざします。新設された「地域活性化補助金」制度(2万円の範囲内で補助)の活用をお願いします。
③応援団員募集をおこないます
 新しいリーフレットを活用し、会員の拡大に積極的に活用していきます。現在約200名ですが、約100名の増加、300名を目標にします。
3 財政基盤を固めます
応援団員の大幅拡大(会員ひとり、1名の呼びかけ)を目指します。なお応援団員は県内、県外を問いません。
 応援団会員の会費納入率を向上させます。年度当初に納入をお願いしました。未納の人については個人宛の納入状況資料を添付し、再度納入をお願いします。またカンパをしていただいた方々には適宜ニュースなどを送りカンパや支持者を増やす活動に取り組みます。
4 情宣活動
①集会、講演会、映画上映、街頭活動などに取り組みます
・街頭ビラ撒きを、口頭弁論にあわせてできる限り実施します。(無理をしない範囲で)
・講演会や上映会など、引き続き取り組みます。
・2年続きで「311いのちのわ」集会は中止となりましたが、来年度は10年の大きな節目の年になります。節目にふさわしい取り組みを目指します。
・新型コロナウイルス感染症のために、上記のことが充分できない可能性があります。臨機応変に対応します。
②インターネットの活用をすすめます
ア、メールニュースを受け取ってもらえる人を増やします
 スマホでも受け取りができます。info@anti-ikata.orgにアクセスすることで登録されます。
 (編集部注:ただいまメールニュース配信の仕組みを構築中です。完成次第当ホームページでご案内いたします)
イ、ホームページの活用をはかります
   ホームページを充実させますので、会員の皆さんの積極的な活用をお願いします。
   地域の「通信員」を募集します。
③裁判ニュースを発行します
5 応援団活動を活発化させます
 応援団の募集などを応援団事務局と連携しながら取り組んで行きます。
6 他地域の伊方原発をとめる訴訟団との情報交換、交流をはかります
  
2020年度役員体制
弁護団代表    河合弘之  徳田靖之  岡村正淳
原告団代表    松本文六  中山田さつき
応援団代表    宇都宮陽子 奥田冨美子 丸山武志
裁判の会事務局長 森山賢太郎(新)
会計担当     池松 清
会計監査     藤井克展  上野寛子(新)
応援団事務局長  伊東俊義